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地銀アプリがもたらす新たな価値:地銀の先駆的なDX事例

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

今回は、地方銀行(以下、地銀)やネット銀行の取り組みを中心に、銀行アプリについてご紹介していきます。既存の銀行の形態が変わりゆく時代の中で、銀行アプリがもたらす新たな価値について調査してみました。それぞれの銀行の特徴がアプリに反映され、リリースされています。ぜひ、チェックしてみてください。

銀行アプリで収支や資産の管理を手軽に

ネット銀行や地銀では、金融アプリのリリースやアップデートが活発になっています。
アプリを使用するユーザー側からしても、これまでの入出金をするのみの機能から、収支や資産管理など、生活全般にまつわるお金を、アプリ上で手軽に管理する機能が求められているようになってきています。

今回ご紹介するアプリの中には、これまでの銀行アプリを越え、身の回りで動くお金をまとめてスマホアプリ一つで管理することができるようなものも増えていました。日々の収支の管理はスマホアプリで記録、住宅ローンの償還予定表を表計算ソフトで作ってみたり、WEBサイトでチェックするなど、別々に管理しているという方も、アプリ上でお金の動きをシミュレーションすることで、ライフプランを立てたり、家計の見直しポイントも見つけやすくなるのではないでしょうか。

このように、ネット銀行などを始めとして、スマホやインターネット上で手続きを完結できる次世代型の銀行はどんどん広がりを見せています。スマホを常に持ち歩く世代にとっては、アプリでお金の一括管理ができるのは、手軽で嬉しいサービスとなりそうです。

Impress Watch:ソニー銀行、無料の金融アドバイスアプリ「Monedge」。ソニー銀の口座不要

ソニー銀行では、3月に個人資産やライフプランを管理できる金融アドバイスアプリ「Monedge (マネッジ)」を提供開始しました。「Monedge」は、日本ユニシスの個人資産管理サービス「Fortune Pocket」をベースにしたアプリで、金融データプラットフォームの「Moneytree LINK」と連携し、複数の金融機関で保有する資産情報を一元化。iOSとAndroid版がリリースされ、アプリを通した資産管理が可能です。

また、アプリ利用者は住宅購入や海外旅行など人生の中で実現したい目標や夢を「Monedge」に登録することで、実現に必要な費用を算出。毎月の貯蓄可能額や想定運用利回りなどをもとに、定年時点の資産額と生涯最終資産残高をシミュレーションすることができます。

MONEY zine:マネーフォワード、「みんなの銀行スマートフォンアプリ」の資産管理機能を開発

金融系のウェブサービスを提供しているマネーフォワードが、みんなの銀行と業務提携し、みんなの銀行が提供する「みんなの銀行スマートフォンアプリ」で「レコード機能」を開発。5月よりサービス提供を開始しました。

「レコード機能」は、マネーフォワードのアカウントアグリゲーション技術を活用し、他の銀行やクレジットカード、電子マネーなどの入出金履歴を一元管理する機能。アプリに自動連携された入出金明細に「#仕事」「#家族」「#ランチ」などのハッシュタグを付けて分類すれば、日々の収支の管理も簡単に。

利用者自身のお金の使い方が見える化されることで支出の見直しポイントも把握できます。口座開設からATM入出金、振込など、すべてのサービスがスマートフォン上で完結する次世代型の新銀行です。

時事ドットコム:八十二銀行とのiBank事業参画に関する正式合意及び資本業務提携について

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(取締役会長兼社長 柴戸隆成、以下:FFG)傘下のiBankマーケティング株式会社(代表取締役社長 明石俊彦、以下:iBank社)は、株式会社八十二銀行(取締役頭取 湯本昭一、以下:八十二銀行)と2月19日付にてiBank事業への参画に向けた協議を開始する旨の基本合意を発表。iBank社が運営するスマートフォンアプリ「Wallet+」の利用やiBank事業領域の拡大及び、iBankサービスを活用したマーケティングの高度化についての検討を進め、5月24日、FinTechサービスの連携による新たな価値の共創を目指した資本業務の提携を発表しました。

この合意によってiBank社と八十二銀行は、iBank社が運営するスマートフォン専用アプリ「Wallet+」の導入に向けた共同開発に本格着手。金融と非金融、日常と非日常をシームレスに繋ぐ新しいマネーサービスの体験を提供すると共に、「Wallet+」を通じたデジタルマーケティングの高度化について協働で取り組んでいくとのこと。

「Wallet+」展開にあたっては、2022年夏までにリリースされている最新バージョンの機能の実装が予定されています。

決済を通じた地元応援の取り組み

地元の活性化への願いを込めた独自のアプリケーションを地銀がリリースしています。
独自の決済アプリには、利用者・加盟店、それぞれにメリットがある仕様になっており、利用者はその地銀に口座を持っていればQRコードを通してキャッシュレスな支払いができて、加盟店の手数料も安価に設定。

アプリ導入のハードルを低くしていました。その他の地銀では、スマホアプリに県内の飲食店で使えるクーポン機能を追加。コロナ禍の中で営業をしている飲食店への応援へと繋げる取り組みが始まっていました。

これらの取り組みのキーポイントは、地銀独自の取り組みであるということ。地元の店舗や住民の方々に安心感やメリットがあるということが、アプリの広めやすさ・強みにもなっていると考えられます。

payment navi:鹿児島銀行、独自のスマホ決済アプリ「Payどん」で地域経済の活性化目指す

鹿児島市に本店を置く地銀、鹿児島銀行が独自に開発したスマートフォン向け決済アプリ「Payどん」。アプリに同行の普通預金口座(総合口座を含む)を登録しておくと、加盟店で買い物する際にQRコードを利用して口座から直接支払うことができる仕組みです。アプリを独自開発しているため、加盟店の手数料も一律1.5%となっており、クレジットカードなどに比べて安価に設定されています。

このような独自の決済サービス提供は、地域経済の活性化の取り組みとして注目され、また利用者の決済データを集約して分析、企業のマーケティング支援に生かす狙いもあると考えられます。同行は「ローカルな銀行がやっている安心感」を売りに取引先に営業し、2021年2月時点で加盟店は約5,500店舗を達成。一方の課題としては、地元住民がよく利用するスーパーや百貨店なども概ね合意はできているものの、レジの調整の関係で現時点では「Payどん」が使えない店舗も。

このため、ジェーシービーが提供するQRコード・バーコード決済システムに対応していくことも検討しているとのこと。アプリの利用者数については、3年後で15万人を目標に普及を図っていく予定です。

日経電子版:伊予銀行、自社アプリに飲食店のクーポン機能

4月30日、伊予銀行は口座残高などが確認できる自社のスマートフォン向けアプリ「MONEY MANAGER」に愛媛県内の飲食店で使えるクーポン機能を追加したことを発表。

これによって、日常的に使える機能を通して自社アプリの利用を促していきます。

松山市で出版事業を手掛ける株式会社エス・ピー・シーが発行する「ランチパスポート」に掲載されているクーポンなどが利用でき、愛媛県の中予地域にある100軒以上の店舗が対象となっています。地域の活性化とともに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う営業時間の短縮で売り上げが減少する飲食店の支援にも繋がる取り組みです。

まとめ

新たな銀行アプリのリリースや機能追加などが盛んに行われ、スマホ一つでお金の管理が出来る時代になり、銀行アプリがもたらす新たな価値が感じられるようになってきました。

お金の動きを可視化し、一元管理が可能になれば、普段意識しなかったお金の動きにも敏感になり、個人の金融リテラシーも上がっていくかもしれません。また、地銀のアプリにも独自の決済サービスやクーポンなど、それぞれに特色があり、アプリを活用することで地元の魅力を再発見するきっかけ作りにも役立っていきそうです。

今後、非金融分野で新たな価値を提供するためには、店舗をはじめとした既存業務の効率化に伴うリソースの確保が必要となってくるでしょう。そして、これからの地銀には生産性の向上と新規事業領域開拓の両軸を実現するためのDX推進が求められます。そのため、DXもミッションのひとつとして進めて行かなくてはなりません。

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