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非対面チャネルで何を実現するか:地銀の先駆的なDX事例

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

今回は、時代に合わせた非対面サービスへの移り変わりが感じられるような事例をピックアップしてみました。これからの地方銀行(以下、地銀)は、どのようなツールを使って非対面サービスを実現していくのか。デジタルに置き換えても問題のない業務は何か? など、DXを推進するための本質的な取り組みが進められています。地銀のデジタル担当者さまは、ぜひ、ご覧ください。

無人拠点やアバター接客、業務を効率化する非対面チャネルの取り組み

ユーザーが感じる銀行のデジタル化のメリットは、店舗やATMへ足を運ばずにサービスが受けられるということ。例えば、午後三時までの営業時間に合わせて窓口へ行かなければならないのは、ユーザーにとって不便さを感じる要因でもあります。

その不便さを少しでも解消するため、自宅など自由な場所でスマートフォンのビデオチャットを使った銀行手続きが可能になったり、スマートフォンでの口座管理が取り入れられ始めていました。

また、これらは長期的な視点で見ると銀行側のコスト削減にも繋がるため、銀行にもメリットがある取り組みです。

ITmedia NEWS: 新生銀行がWeWorkと提携、無人拠点を都内に開設 行員がビデオ会議で接

新生銀行は1月、フレキシブルオフィスを運営するWeWork Japanと業務提携を締結したことを発表しました。さらに、資産運用に関する相談にリモート対応が可能なワークスペース「WeWork東京スクエアガーデン」が同時にオープンし、ビデオ会議での接客が可能に。こちらの無人拠点は「新生サテライトラウンジ」と呼ばれ、ネット上で予約、ラウンジ内の接客用の個室で指定の時間に訪れたユーザーをリモートで行員が接客するシステムです。

今後は口座の開設や届け出情報の変更などにもリモートでの対応が検討されており、この他にも、行員向けのワークスペースとしてもWeWorkを活用していく予定です。

DIGITAL X:横浜銀行の非対面サービスを実現している業務アプリ、NTTデータが他行にも提供

金融機関が非対面でのユーザーサービスを提供する時に必要な業務アプリケーションの提供を、NTTデータが開始しました。

これは外部サービスと既存システムなどをつなぐオンラインデータ連携基盤上で動作するソフトウェアで、基盤を含め横浜銀行と共同で開発してきたもの。金融機関間で共有することでサービスの開発期間短縮を目指とのことです。

横浜銀行はすでに住所変更の諸届などの業務アプリケーションを開発、約20種のユーザーサービスの提供を始めており、今後は共同開発した業務アプリケーションの種類を拡大するとともに、同アプリを利用する金融機関同士でエコシステム「顧客サービスエコノミー」の構築を目指していきます。

現在、コロナ禍にある金融機関では、ネットやスマホアプリなどの非対面チャネルを使ったサービスの開発・提供が求められ、そのサービス内容を高めるためにバックオフィス業務の効率化・自動化を進める必要に迫られています。

また、このオンラインデータ連携基盤は、NTTデータが横浜銀行の非対面チャネルにおけるユーザーサービス提供に向けて2019年3月に構築されたもの。ホームページやスマートフォン用アプリケーション、店頭タブレットなどにおける各種サービスを既存のバックオフィスシステムや銀行システムと連携する仕組みをAPIとして提供することが可能で、同基盤上で動作する業務アプリケーションは、住所変更等の諸届や口座開設、融資のレコメンドや申し込みなどの機能も提供できるとのこと。

横浜銀行ではデータ連携基盤と業務アプリケーションを利用し、住所変更業務では年間8600時間の業務量を削減したとしています。

朝日新聞デジタル:アバターで接客 京都銀行が非対面店を実験

京都銀行は、行員の代わりに画面上のアバター(分身)が説明したり、相談に応じたりする新たな接客の手段を京都市内の店舗で試行しています。「京銀デジタルコネクト左京」は、他支店とは違い、行員のいる窓口はなく、利用者が希望すればタブレット端末などでアバター行員と通話が可能。当面は行員が別室にいてアバターを通じての接客となり、今後は本店や自宅からの対応も検討されています。

また、アバターの活用は利用者の利便性だけでなく、行員の働きやすさにつながる可能性もあるとのこと。顔を出すのが苦手な行員や、身支度の負担が減り在宅勤務、育児休暇中の行員も加わりやすい点がメリットにもなると考えられています。

イノベーション・デジタル戦略部の竹内理部長は「人間の行員に聞くのは恥ずかしいと思うことでもアバターには聞きやすいかも知れないし、逆に相続の相談はしにくいとか、ここで利用者の反応を蓄積したい」とも語っていました。

銀行によるアバターを試す動きは、2018年に大垣共立銀行(岐阜県大垣市)での事例や、阿波銀行(徳島県徳島市)が2020年4月から導入し、現在では徳島市内の支店でローンの説明などに使っているという事例もあります。

顧客サービスと銀行業務のスリム化を叶える施策

ユーザーが感じる銀行のデジタル化のメリットは、店舗やATMへ足を運ばずにサービスが受けられるということ。

例えば、午後三時までの営業時間に合わせて窓口へ行かなければならないのは、ユーザーにとって不便さを感じる要因でもあります。

その不便さを少しでも解消するため、自宅など自由な場所でスマートフォンのビデオチャットを使った銀行手続きが可能になったり、スマートフォンでの口座管理が取り入れられ始めていました。

また、これらは長期的な視点で見ると銀行側のコスト削減にも繋がるため、銀行にもメリットがある取り組みです。

Yahoo! JAPANニュース:ビデオチャットで銀行手続き 伊予銀が新アプリ試行導入(愛媛)

伊予銀行(松山市)は、ビデオチャットで行員と話しながら普通預金口座の開設や住所変更などの手続きをスマートフォンでできる個人客向けアプリ「AGENT(エージェント)」の試行導入を始めています。

iPhone版から開始し、アンドロイド端末版は2022年3月ごろの開始を予定。また、ビデオチャットで口座開設などができるアプリは全国初とされており、現在可能な手続きは口座開設、氏名・住所・電話番号変更などの届け出、キャッシュカード発行など6種類。9月には定期預金口座の開設など6種類を追加し、本格稼働する予定です。

さらに、こちらのアプリはビデオチャットの活用が特長。利用できるのは平日午前9時~午後3時で、口座開設をする場合、画面の案内に沿って名前や電話番号を入力した上でビデオチャットから行員の説明を受け、運転免許証による本人確認、口座開設店の選択といった手続きへ進みます。

伊予銀行総合企画部の石川秀典課長は、ライフスタイルの変化などで来店客が減少する中、新型コロナウイルス感染拡大で非対面のニーズも高まっているとし、「コンセプトは優しいデジタル。スマホに不慣れな人やデジタルのみのサービスに抵抗感がある人にも、ビデオチャットで安心して手続きしてほしい」と語っていました。

千葉日報:千葉銀行、紙通帳に手数料1100円 3月から導入 デジタルシフトへ

千葉銀行は3月1日より、新規口座の開設で紙の通帳を発行する際に1冊あたり1,100円の手数料を導入し始めました。これは、スマートフォンで口座管理できる「通帳アプリ」の利用を促し、紙通帳にかかる経費を削減、デジタルサービス拡充につなげるための試みです。

銀行では通帳1冊を発行するにあたり200円の印紙税を負担しており、アプリなどの利用は諸経費を削減するとともにデジタル化の強化にもなります。同様の手数料導入は、みずほ銀行も実施しており、横浜銀行も2月16日から新設。千葉県内では、京葉銀行と千葉興業銀行が導入の方向で検討しているとのこと。

このほか、「住宅ローン返済予定表」の郵送を希望するユーザーに対しては、3,300円(一度限り)の手数料を4月1日から新設。ウェブ上で返済予定を確認できる「ちばぎんマイポスト」を利用すれば手数料はかからないとして、紙の通帳や郵送書類を削減し、デジタルサービスを一層拡充していくと説明。

デジタルサービスに力を入れていることがうかがえました。

まとめ

今回ご紹介した事例は、場所にとらわれないデジタルサービスです。新たな切り口の非対面チャネルが増えることで実店舗は縮小し、ユーザーはサービスがより使いやすく、銀行業務もコンパクトな仕組みへと変わって行きます。

これまで対面でのやり取りしか選択肢がなかった銀行業務で、無人拠点やアバターを取り入れたり、スマートフォンを通じた接客が当たり前になっていくことは、地銀のDXによる変革期を象徴するような出来事です。そして、これらの取り組みによってユーザーと銀行、双方に良いインパクトが与えられていくことで、さらにDXの好循環が起こるのではないでしょうか。

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