はじめに
今回は、IT業界のあるクライアント様のコーポレートサイトリニューアル・CMS移行をご支援した事例をご紹介します。
以前のサイトでは、IR情報など鮮度が求められるコンテンツの更新に時間がかかり、運用体制の内製化も課題となっていました。
本記事では、この課題に対し、弊社メンバーがノーコードCMS「Studio」を用いてどのように設計・構築し、クライアント様の運用改善と事業貢献を実現したのか、具体的な取り組みと成果、そして大規模サイト構築におけるルーツの伴走支援の裏側を、担当ディレクターの豊田に聞きました。
プロジェクト概要
- まず、どんなクライアントやプロジェクトを担当されましたか?
私からは、IT系の企業様のコーポレートサイトリニューアル・CMS移行案件を担当いたしました。
主な目的は、Studioへの移行を通じて、サイト運用を内製化し、更新スピードを向上させることです。また、IR情報の見つけづらさの解消やコンテンツの拡充といった、サイトの回遊率向上を目的とした改善も並行して行いました。
クライアントの課題
- 当初、クライアントが抱えていた課題はどんなものでしたか?
以前のサイトでは、別のベンダーに原稿を渡して反映してもらう運用形態だったため、IR情報のように高い公開スピードが求められるコンテンツでも、タイムラグが生じてしまうことが大きな課題でした。
また、自社内でスピーディに更新したい、運用を内製化したいという強いご要望をいただいておりました。これらをStudio導入によって解決したいという背景がありました。
取り組み内容
- その課題に対して、どのような支援や取り組みを行いましたか?
最も注力したのは、「運用内製化」を最大限に実現するための設計」です。
Studioを導入すれば内製化はできますが、担当者が変わっても複雑にならないよう、CMSの適用範囲を細かく検討しました。具体的には、更新頻度が高い部分をCMS化し、お客様が直感的に操作できるシンプルな作りにすることを徹底しました。
また、IRページの改善においては、「ゴメス」などのIRサイト評価ランキングや競合調査を参考に、回遊率を上げるためにどんなコンテンツを、どのように配置すべきかという情報設計から深く関わりました。
さらに、今回のリニューアルはデザインも一新しました。「企業のビジュアルとして何を伝えたいか」という上流の意図をお客様と深く話し合い、サイトのブランドイメージを形作っていきました。
成果と変化
- 支援を通して、どんな成果や変化がありましたか?
明確な成果として、サイト公開後、前年比でPV数が50%増加、ユーザー数が200%増加という実績が出ています。特に注力したIR関連ページについても、30%以上の伸びを確認できました。
運用面では、ニュースリリースなどの日常的なCMS更新は、クライアント様ご自身で行っていただいています。当初の課題であった「スピーディな更新」と「内製化」は実現できており、現在は基本的なCMS更新をクライアント様主導で進めていただいています。
一方で、今回の案件は大規模な構築となったため、一部、Studioの機能がまだ追いついていないと感じる部分もあります。お客様からも機能面で改善要望をいただくことがあるのですが、私たちはStudioエキスパートパートナーとして、Studio開発元に直接これらの要望や不具合の報告を随時行っています。開発元のエンジニアさんが非常にスピーディに対応してくださるため、緊急時や機能面で調整が必要な場合も、安心してお客様の運用をサポートできています。
学びと気づき
- プロジェクトや日々の支援を通して、どんな学びがありましたか?
Studioでの構築において、「設計」が非常に重要であると学びました。
設計の段階で更新頻度やお客様の使いやすさを細かくヒアリングし、Studioの機能と照らし合わせながら、「どこが更新頻度が高くCMS化すべきか」「どこは静的で十分か」という判断を、より前の段階で固めることが重要であると再認識しました。
また、Studioのエキスパートパートナーとして、大規模サイト特有の課題に直面した際は、開発元との連携を密にし、お客様に最も最適な運用方法を提供し続けることが、私たちの重要な役割だと感じています。
今後の展望
- 今後、挑戦したいことや取り組みたいテーマはありますか?
現在、現行サイトをそのままStudioに移行する「移行案件」も多く担当させていただいています。
移行を機に、サイトを「より良くする」ための改善提案や、より深い情報設計の調整を、お客様と伴走しながら行っていきたいです。構築だけでなく、その手前の「より良いもの」を追求する提案を、今後も積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
課題の整理から一緒に考え、改善を積み重ねる“伴走支援”をこれからも続けていきたいです。