はじめに
こんにちは、メンバーズルーツカンパニー フロントエンドエンジニアの岸本です。
普段は主にヘッドレスCMSを使ったJamstack構成のサイト構築などを行っています。
今までヘッドレスCMSだと、microCMSやNewt、NILTO、Contentfulなどを使ってきたのですが、今回「Kuroco(クロコ)」というCMSを使ってみました。
使ってみると、他のヘッドレスCMSにはあまり見られない機能が見つかりました。そこで今回は特徴的だと感じたKurocoの機能を3つ簡単にご紹介します。
ヘッドレスCMSとは?
ヘッドレスCMSとは、従来のWordPressのようなブログシステムとは異なり、コンテンツを管理するバックエンド機能(管理画面)のみを提供し、見た目(ビュー)の機能 を持たないCMSのことです。
APIを介してコンテンツを配信するため、既存のWebサイトやスマートフォンアプリなど、表示するフロントエンドを自由に選べるのがメリットです。
また、ビューとバックエンドが別れていることでセキュリティリスクを回避できるため、高いセキュリティ品質が求められる金融系会社のWebサイトなどにもおすすめです。
高機能国産ヘッドレスCMS「Kuroco」について
Kurocoは株式会社ディバータが開発・提供する国産のヘッドレスCMSです。
国産なので管理画面やドキュメントがすべて日本語に対応しており、サポートも日本語で受けられます。
また、最大の特徴はコンテンツ管理にとどまらない高機能さです。後述するパーソナライズ機能やサーバーホスティング機能など、通常は外部サービスとの連携が必要になるような機能が標準で組み込まれており、Kurocoだけで多くの要件を実現することができます。
Kurocoの特徴的な機能3選
私が特に特徴的だと感じたKurocoの機能を3つご紹介します。
1. 自由度の高い「管理画面のカスタマイズ」
多くのヘッドレスCMSでは、管理画面のUIは標準で用意されているものをそのまま利用するか、カスタマイズできても並び順や横並びなどが多いと思います。
しかしKurocoでは、CSSやJavaScriptを使って管理画面やWYSIWYGエディタの見た目をかなり自由にカスタマイズできます。
例えば以下のようなカスタマイズなどが可能です。
- ウェブサイトのフロントエンドのデザインに合わせて、WYSIWYGエディタ内の見出しや文字のスタイルを調整する。
- 独自の入力補助ボタンをJavaScriptで追加する。
- 開発時の事情により保持したいデータがあるが、コンテンツ入稿者には見せたくない入力フィールドを隠す。
これによりコンテンツ入稿者が実際の表示イメージに近い環境で編集できるようになり、作業の効率化やミス防止などにも繋がると思います。

ただし、管理画面上にも記載されていますが、Kuroco本体のアップデートによって意図しない表示崩れが起きる可能性もあるため、注意が必要です。
管理画面のカスタマイズについて、詳しくは下記公式チュートリアルなどを参考にしてください。
2. 標準搭載されている「パーソナライズ・EC機能」
Kurocoには標準でパーソナライズ機能やEC機能が搭載されています。
Kuroco上で商品・在庫の管理や売上集計などが可能です。また、それらのデータを利用して購入者へのメールマガジン配信も可能です。

他にも以下のような機能をKuroco単体で実現することが可能です。
- Kuroco上でお問い合わせフォームを作成し、申込者に自動でメールマガジン配信を行う。
- カートの情報からかご落ちリストを取得して表示する。
- カートに入れた商品情報から関連商品を表示する。
通常ヘッドレスCMSと併用してECサイトを構築する場合、ヘッドレスCMSとは別にShopifyのようなECプラットフォームや、SendGridのようなメール配信サービスを契約して連携する必要がありますが、Kurocoならその手間とコストを削減できます。
Kuroco単体でヘッドレスCMSを備えつつ、ECサイトを構築できるのは非常に魅力的だと感じました。
パーソナライズやEC機能について、詳しくは下記公式チュートリアルや公式ドキュメントなどを参考にしてください。
3. 会員サイトがすぐ作れる「ログインAPI」
2で紹介したEC機能やパーソナライズ機能を利用するためには会員登録などが必要ですが、Kurocoには会員登録、ログイン認証機能も標準搭載されています。
会員制サイトを構築する際に手間がかかるのが、ログイン認証機能の実装だと思いますが、Kuroco側で用意されているAPIを使用することで、Firebase Authenticationなどの外部サービスや自前のデータベースを用意しなくてもログイン認証機能を実装することができます。

また、標準搭載されている機能でAuthenticatorやSMSなどを利用した2段階認証設定も実装可能なのでセキュリティ対策も可能です。
会員情報はすべてKurocoの管理画面上で管理運用でき、また会員にはKurocoの管理画面へのアクセス権限を与えないなど、権限設定も可能です。
フロントエンドからのAPIリクエストだけで会員登録やログイン処理を実装できるため、開発工数を大幅に削減できます。会員限定記事のようなコンテンツへのアクセス制御などもKuroco側で柔軟に設定可能です。
ログインAPIなどについて、詳しくは下記公式チュートリアルなどを参考にしてください。
まとめ
今回は簡単にKurocoの特徴的な機能を紹介しました。初めてKurocoを触ってみましたが、かなり多機能なCMSだと思いました。
基本的なヘッドレスCMSとしてのコンテンツ管理機能は持ちつつ、他のサービスにはない特徴的な機能がたくさん搭載されています。通常は複数の外部サービスを組み合わせて実現するような、ECサイトや会員制サイトの作成をKuroco一つで完結できるのはとても魅力的だと思いました。
ただし、機能が豊富な分、設定項目も多く、他のシンプルなヘッドレスCMSに比べると習得に少し時間がかかるかもしれません。
今回紹介した以外にも、AI連携や静的ホスティング機能など、他にも便利な機能があります。
これからヘッドレスCMSを選定する方の参考になれば幸いです。