はじめに
メンバーズルーツカンパニーのWebディレクター、佐々木です。
お客さまからご相談をいただく中で、「今のWeb運用のスピードを上げたい」「もっと効率的に回したい」という声が年々強まっていると感じます。その背景には、AIとノーコードの進化によって、これまで制作会社やエンジニアに依頼するしかなかった作業の一部を、社内の非エンジニアでもこなせるようになった、という状況があります。
一方で、いくら技術が進んでも、Webサイトを運用するDX現場には、社内の力だけでは解決できない課題も確実に存在します。
大切なのは、「社内でやるか、外に任せるか」の二択で考えることではありません。課題の種類ごとに、どこを自社で担い、どこで社外のパートナーの力を借りるかを見極めることです。
Web運用の課題は、AI×ノーコードでどこまで解決できるか
Web運用における課題を、目的や構造そのものに関わる「設計」、日々の実行力が問われる「実行」、成果を正しく読み解く「計測・分析」の3つの領域に分けて考えてみましょう。それぞれ、AI×ノーコードで解決できるのはどこまでか、どこから専門的な知見を持つパートナーの力を借りるべきかを見ていきます。
設計
まず向き合うべきは、サイトの目的設計です。「とりあえず情報を出す」ことが目的化してしまい、本来何のためのサイトかという問いが、社内で一度も言語化されていないケースは少なくありません。その結果、認知拡大・リード獲得・既存顧客のフォローなど、やりたいことが複数並んだまま優先順位がつかず、サイト全体が中途半端になってしまいます。
目的が定まったら、次はそれを実現するためのサイト構成やページ構成です。誰がどのページから入り、どんな情報を見て、お問い合わせなどの行動に至るのか。その導線を描いたうえで、ページの階層や、各ページに載せる情報の順番を決めていきます。目的が曖昧なまま構成を作ると、情報が増えるたびにページが継ぎ足され、ユーザーが必要な情報にたどり着けないサイトになりがちです。
目的の候補を整理したり、構成案のたたき台を作ったりすることは、生成AIでもできます。しかし、部署をまたいだ利害を調整して1つの目的に合意を形成すること、自社のユーザーの動きや既存コンテンツを踏まえて、何をどこに置くかを判断することは、AIだけでは完結しません。
実行
設計の方向性が定まったうえで、次に直面するのが「手が足りない」という悩みです。コンテンツを増やしたい、事例記事を作りたい、ターゲットに対して最適化したページを用意したい。やりたいことは明確でも、それを実際に形にする人手や時間が足りない、という状態です。
ここは、AIとノーコードが最も力を発揮する範囲です。生成AIによる原稿の下書き支援、ノーコードツールによるテンプレート化された量産体制があれば、実行のスピードは確実に底上げできます。
ただし、それは現場が一人でツールを使いこなせるようになって初めて成り立つ話です。使い方のレクチャーやマニュアル作りといった、立ち上げの支援は別に必要になります。
計測・分析
サイトを設計し、運用が回り始めると、次に問われるのが計測・分析です。単純なPV数だけでなく、滞在時間・スクロール率・回遊率といった、より深い指標で成果を把握したいというニーズは年々強まっています。
レポートの自動作成や数値の要約、異常値の検知など、データを「見える化」する部分は、AIでも効率化が進んでいます。しかし、本当に難しいのは、見える化したデータをもとに運用改善を考え、次の打ち手につなげられる人材がいるかどうかです。
こうした人材がいないまま計測だけ高度化しても、数字は取れるのに活用されない、という状態に陥りがちです。
課題ごとに、外部パートナーの関わり方を変える
前の章で見た3つの領域は、それぞれ解決に必要な関わり方が異なります。
設計
部署をまたいだ利害調整や目的の合意形成に加えて、導線やサイト構成を考える専門的な知見も求められる領域です。外部のパートナーには、プロジェクト全体を取りまとめる推進役(PMO)として社内の合意形成を進めてもらうだけでなく、導線設計やサイト構成・情報設計の知見を提供してもらう関わり方が合っています。
実行
AIとノーコードで解決できる範囲が大きい領域です。外部のパートナーに求めるのは作業の代行よりも、ツールのレクチャーやマニュアル作りといった立ち上げの支援です。現場が自分たちで回せるようになれば、パートナーの関わりは徐々に減らしていけます。
計測・分析
タグを設定するだけでなく、データを読み解き、改善の打ち手まで一緒に考えてもらう関わり方が必要です。社内で分析を担える人材が育つまでの間、定期的に振り返りの場を持つといった形も考えられます。
これらの課題は同時に存在することがあります。たとえば、記事の更新は自社で回せていても、サイトの目的は設計から見直す必要があり、成果の分析には専門知見が必要、という状態は、むしろ一般的です。
だからこそ、「全部を社内で担うか、全部を外に出すか」という二択で考えるより、外部のパートナーに、どの領域で、どんな形で関わってもらうかを設計する方が現実的です。
自社のWeb運用は、どの領域でつまずいているか
ここまでの3つの領域のうち、自社が特にうまくいっていないのはどこでしょうか。領域ごとによくあるつまずきのサインの一例を挙げるので、当てはまるものがないか確認してみてください。
設計につまずいているとき
- 誰に向けたサイトなのか、目指すべき姿が社内で明文化されていない
- 部門ごとにWebサイトに求める役割や狙いが異なり、足並みが揃わない
- 「単にコンテンツを公開すること」自体がゴールになってしまっている
- ページが継ぎ足しで増え、ユーザーが必要な情報にたどり着きにくくなっている
- お問い合わせの獲得など、ビジネス上の狙いとするコンバージョンに結びついていない
実行につまずいているとき
- コンテンツや事例記事を増やしたいが、社内の人的リソースが追いつかず後回しになっている
- ちょっとした変更でもエンジニアへの依頼が必要で、反映までにタイムラグがある
- CMSで管理しているページ以外は、自由に更新できない
- AIやノーコードツールを導入したものの、使えるのが一部の人に限られ、属人化している
計測・分析につまずいているとき
- そもそもどんな指標を追うべきか、自社にとっての基準が定まっていない
- 更新作業やコンテンツ量産はスムーズに回るようになったが、数値の見方や改善案が思い浮かばない
- 計測はしているが、改善のサイクルが回っていない
設計・実行・計測分析、どれか1つとは限りません。部署や担当者によって見えている課題が違う、ということ自体が、最初の気づきになるかもしれません。
まとめ
社内で対応できる範囲を広げるだけでは、Web運用の課題はすべて解決しません。AI×ノーコードは、実行の負担を確実に軽くします。一方で、サイトの目的・構造を考える設計や、成果を正しく読み解く計測・分析は、ツールの進化だけでは埋まらない部分です。
問われているのは「社内でやるか、外に任せるか」ではなく、課題の領域ごとに、社外のパートナーの力をどう借りるかです。作業を代行するだけでなく、領域ごとに関わり方を変えながら、DX現場に共に入り込めるパートナーがいると、Web運用を成果につなげやすくなります。
自社がどの領域でつまずいているか整理しきれない場合や、設計や計測・分析の課題を私たちと一緒に乗り越えたい場合は、お気軽にご相談ください。