検索ボタン
業務で使うならどれ?GitHub Copilot, Cursor, Amazon Q Developer 比較

業務で使うならどれ?GitHub Copilot, Cursor, Amazon Q Developer 比較

生成AI 2025年6月25日

  1. はじめに
  2. 比較する AI コーディングツールの紹介
  3. 評価基準
  4. 評価基準に沿った詳細比較
  5. 比較結果
  6. Cursor を導入してみて期待する効果
  7. まとめ

はじめに

こんにちは。メンバーズルーツカンパニー、フロントエンドエンジニアの柴田です。

最近では多くの企業で、生成 AI を搭載した開発ツールの利活用が急速に進んでおり、どのツールを導入すべきか、あるいはどのように活用していくべきか、比較検討されている担当者の方も多いのではないでしょうか。

中でも、AI コーディングツールとして「GitHub Copilot」「Cursor」「Amazon Q Developer」の 3 つは、日本でも特に注目度が高いかと思います。

以前、GitHub Copilot についての紹介記事を執筆しましたが、その後 Cursor と Amazon Q Developer を実際に契約して試用する機会がありました。  

そこで今回は、これらのツールを実際に使ってみた経験から、それぞれの特徴を比較し、最終的にチームとしてどの AI コーディングツールを選定したのか、そしてその理由をご紹介します。

なお、これらのツールは非常に速いペースでアップデートが繰り返されています。本記事でご紹介する内容は、あくまで私自身が試用した際の情報に基づいた比較のため、最新の機能や仕様とは異なる可能性があります。

筆者の個人的見解が含まれている点をご承知おきください。

比較する AI コーディングツールの紹介

今回比較検討する 3 つの AI コーディングツールについて、それぞれの概要と主な特徴をご紹介します。これらのツールはアプローチや得意分野に違いがあります。

GitHub Copilot

GitHub が OpenAI と共同で開発した AI コーディングツールです。GitHub Copilot の最大の強みは、GitHub 上に存在する数十億行という膨大な公開コードを学習データとしている点にあります。

これにより、非常に幅広いプログラミング言語、フレームワーク、ライブラリに対応可能であり、多種多様な開発タスクにおいて安定したパフォーマンスと質の高い提案が期待できます。

Cursor

Anysphere 社が提供する AI コーディングツールです。Cursor は、「AI ファースト」という明確な設計思想に基づき、AI との対話を通じて開発を進めるという、新しい開発体験の質の高さに最大の強みがあります。 エディタ全体が AI と協調して動作するように最適化されており、開発者が AI の能力を最大限に引き出せるよう工夫されています。

Amazon Q Developer

Amazon Web Service(AWS)が提供する、開発者向け AI コーディングツールです。

Amazon Q Developer は、その名の通りAWS エコシステムと深く統合されている点が最大の強みです。 AWS が自ら開発・提供しているため、AWS の多岐にわたるサービス、API、セキュリティのベストプラクティスに関する最新かつ正確な知識に基づいて開発者を支援してくれます。

評価基準

今回は単なる機能比較ではなく、私たちのチームに導入して業務の効率化を目指す、という観点で評価をしています。

特にチーム内のエンジニアが少人数ということもあるので、管理のしやすさという観点よりは使いやすさやコード生成の精度を重視しています。

以下の評価基準でそれぞれのツールを見ていきます。

  • コード生成や補完の精度
  • コードベースの理解力
  • 使いやすさ
  • セキュリティ
  • コスト

評価基準に沿った詳細比較

実際に使ってみた項目ごとの評価を3段階で表にしてみました。

それぞれざっくりとした感想ですが、

  • GitHub Copilot: 充実したエコシステムと、柔軟な拡張性
  • Cursor: 文脈理解力と、それに応じた補完精度の高さが素晴らしい
  • Amazon Q Developer: Astro フレームワーク未対応で、日本語対応不十分*

という印象でした。

* 上記で Amazon Q Developer 日本語対応不十分と記載していますが、これは筆者が Amazon Q Developer を試用していた時期に日本語でのサポートをしていなかったためです。
Amazon Q Developer は 2025 年 4 月 9 日から日本語で利用できるようになっています。

コード生成や補完の精度・コードベースの理解力

GitHub Copilot

GitHub Copilot は 2025 年に入って大幅なアップデートを実施しており、特にエージェントモードの導入が注目されています。従来のコード補完に加えて、複数ファイルにまたがる変更を自律的に実行してくれます。基本的に最新の LLM モデルに対応しているので、ChatGPT 4.1 や Claude 4 Opus などの最新のモデルを使用することができます。

Next Edit Suggestions(NES) 機能により、開発者の次の編集を予測して提案することができ、自然にコーディングができたり、Vision 機能というスクリーンショットや UI デザインの画像をアップロードするだけで HTML コードを生成してくれるユニークな機能があります。

また、コードベースの理解力という点では、プロンプトファイルという再利用可能なプロンプトを作成・共有できる機能があるため、コードベースの理解力向上を図ることができる機能もあります。

実際に使用した感想として、安定性は非常に高く、一般的なコーディングタスクにおいては期待通りの結果を得られることが多かったです。ただ、プロジェクト固有の設計パターンやコードベースの実装の流れを理解した提案という点では、Cursor に一歩及ばない印象でした。

Cursor

Cursor も GitHub Copilot と同様に、最新の LLM モデルに対応しているので、ChatGPT 4.1 や Claude 4 Opus などの最新のモデルを使用することができます。AI エージェント機能もあるため、最新モデルを使った一貫したコーディング作業を行うことも可能です。Web 検索機能や、公式のドキュメントを参照する機能もあるため、最新のライブラリやフレームワークの情報を参照しながらコード生成を行えるようになっているのが強みです。

また、Cursor Tab 機能は他のツールのオートコンプリートを上回る精度を誇り、特に複数ファイルにまたがる文脈理解において優秀です。

それだけではなくプロジェクト全体の理解力が特に優れており、さらに Project Rules 機能を使用することで、プロジェクト固有のコーディング規約やベストプラクティスを学習させることができます。

Cursor を使っていた中で特に良かった点は、新しくコンポーネントを作成した直後に別のファイルでそのコンポーネントを使おうとした時に、まだ一度も import していないにも関わらず、適切な import 文を提案してくれたことです。Cursor がプロジェクト全体のファイル構造とコードの関係性を深く理解しているという文脈理解力の高さを実感しました。

Amazon Q Developer

Amazon Q Developer は、特に AWS を多用する開発において、その真価を発揮するツールだと感じました。AWS の膨大なドキュメントやベストプラクティスを学習しているため、セキュリティやコストに関する提案については優秀だと思います。

ただ、ツール利用において最も大きな壁となったのは、チームで頻繁に使用している技術である Astro フレームワークに対応していなかった点です。そのため、コード生成や補完でのメリットを受けられないのが残念でした。

また、Amazon Q Developer が理解する文脈は、あくまで AWS のサービスが中心でした。ファイル間の依存関係やプロジェクト独自のルールを理解した上での提案という点では、物足りなさを感じたのが正直なところです。AWS という強力な武器を持つ一方で、その武器が有効な場面がチームのプロジェクトでは限定的だった、という結果になりました。

使いやすさ

GitHub Copilot

VS Code や JetBrains IDE など、既存の開発環境に拡張機能として追加するため、慣れ親しんだ環境をそのまま使用できます。契約当時は対応していませんでしたが、現在ではコミットメッセージやプルリクエストの説明を日本語で生成できるようになりました。

また、コードエディタ上だけではなく、GitHub の Web 上からでも GitHub Copilot を利用することができ、場所を問わずその恩恵が受けられます。

エージェントモードの操作も直感的で、チャットパネルから自然言語で指示するだけで、複雑なタスクをすぐに実行できます。

GitHub Copilot の使い勝手は確かに良好で、ネット上にも GitHub Copilot の情報は多数あるため、操作方法で躓く点があってもすぐに解決策が出てくるのが嬉しい点でした。また、普段から使用している VS Code をそのまま利用できるのもメリットだと感じました。

Cursor

VS Code をベースとしているため、既存の VS Code ユーザーはスムーズに Cursor に移行できます。日本語にも対応しており、UI の言語設定も簡単に変更できます。

エージェントモードにより、複数ファイルにまたがる大規模な変更を自然言語で指示できるため、プロトタイピングから本格的な機能開発まで幅広く対応できます。

また、@機能(@Files、@Code、@Docs など)により、特定のファイルやドキュメントを参照しながら的確な指示を出すことが可能で、@機能はプルダウンで選択することができるためコマンドを覚える必要がないのは嬉しいポイントです。

インライン編集することが可能で、Cmd+K(Mac)やCtrl+K(Windows)のショートカットを使用することで選択したコードに対して直接編集指示を出すことができます。これにより、コーディング中の思考の流れを止めることなく、AI の支援を受けられます。

実際に使ってみて、VS Code から既存の拡張機能や設定なども簡単にインポートできるため、移行コストは低いと感じました。また、基本的な操作方法も VS Code と同じなので、UI の使いやすさは GitHub Copilot とあまり変わらない印象で、加えて AI によるコーディングのサポートも非常に受けやすいような UI の作りになっているのが良かったです。

Amazon Q Developer

AWS Management Console との統合がされているため、AWS 環境での開発においては最も使いやすいツールと言えます。

コマンドライン版では MCP* 対応により、様々な外部ツールとの連携が可能で、開発ワークフロー全体を効率化できるため使いやすさの向上が見込めます。

使った感想としては、AWS エコシステムとの連携は確かに優秀でしたが、日常的な開発作業における使いやすさという点では、Cursor や GitHub Copilot の方が優れていると感じました。特に、(当時は)日本語対応の不十分さと、フロントエンド開発における使い勝手の悪さが目立ちました。もちろん、AWS サービスを中心に使っている方にとっては嬉しい機能はたくさんあるかと思います。

* MCP...Model Context Protocol の略称で、外部のリソースに AI がアクセスするための仕組み

セキュリティ

GitHub Copilot

プライバシーモードにより、コードがトレーニングに使用されないよう設定できます。エンタープライズ版では、組織レベルでのポリシー管理が可能で、SAML/OIDC SSO というモダンで強固な認証の仕組みにも対応しています。プランによってはセキュリティポリシーを一元管理することができ、項目ごとに制御が可能です。

Cursor

プライバシーモードにより、コードがローカル以外に保存されることを防げます。SOC 2 認証という顧客データを安全に管理していることを証明する国際的な認証を取得しており、企業利用においても十分なセキュリティレベルを提供しています。SAML/OIDC SSO にも対応しています。プランによってはオプトアウト設定のみ一元管理することもできますが、細かい制御はできません。

Amazon Q Developer

IAM Identity Center との統合により、エンタープライズグレードのアクセス制御が可能です。IP 補償も提供されており、企業利用において安心感があります。セキュリティポリシーに関しては他のツールよりも細かく制御することができ、一元管理にも対応しています。

コスト

GitHub Copilot

  • Free: 無料(月 2000 回の補完、月 50 回のプレミアムリクエスト)
  • Individual: 月額 10 ドル
  • Business: 月額 19 ドル
  • Enterprise: 月額 39 ドル

組織で利用する場合、GitHub Team プランまたは GitHub Enterprise プランが必要になる可能性があり、その場合は追加料金が発生するので注意が必要です。

2025 年 6 月 4 日以降、プレミアムリクエスト制度が導入され、高性能モデル(Claude 3.7 Sonnet、Gemini 2.0 Flash など)の利用には追加料金が発生するようになりました。ただし、ベースモデル(GPT-4o)は引き続き無制限で利用可能です。

Cursor

  • Hobby: 無料(2000 回の補完、50 回の低速リクエスト)
  • Pro: 月額 20 ドル
  • Business: 月額 40 ドル

Business プランであれば 組織全体での管理や請求管理、利用状況の管理 が可能です。

Amazon Q Developer

  • 無料利用枠: 制限付きで利用可能
  • Pro: 月額 19 ドル

無料利用枠でも多くの機能を試すことができ、コストパフォーマンスに優れています。Java アップグレードや.NET への移植などの特殊機能には従量課金制が適用されます。

比較結果

これらの詳細な比較検討を経て、私たちのチームでは最終的に Cursor の導入を決定しました。その決め手となったポイントは以下の 3 点です。

  • プロジェクト全体の文脈理解力の高さ
  • 自然言語による柔軟な指示
  • 導入ハードル・学習コストの低さ

やはり、プロジェクト全体を深く理解した上でのコード生成能力が一番魅力的でした。

他の部署のメンバーも、「Cursor の補完提案は他の AI コーディングツールよりも優秀」という話を何度も聞いたので、それも決定を後押しした理由の一つです。

コードの流れを読んで補完提案をしてくれるので、使っている側は提案されたコードを次々と承認していくという作業になることも多く、非常に効率化できているという実感がありました。ここはエンジニアの開発速度に大きく影響してくる箇所だと思いますし、生産性向上という観点では魅力だと感じました。

コードの理解があるため、単純作業は Cursor のエージェント機能に任せて、複雑なロジックや意思決定が必要なセクションは自分で作業する、という形で作業を進められるのができることも強みだと思います。

また、Cursor は VS Code をベースとしたコードエディタなので、チームの負担が少なく導入できる点が良かったです。拡張機能やテーマ、キーバインドもそのまま使用でき、チーム全体での導入障壁が非常に低かったのが大きなポイントです。

他のツールとの比較で感じた課題

GitHub Copilot は安定性と信頼性において優れていますし、プロジェクト全体の文脈理解においても優秀だと思います。ただ、 Cursor と比較した時にやはり Cursor には劣る印象でした。また、2025 年 6 月以降のプレミアムリクエスト制度により、高性能モデルの利用にコストがかかるようになったのも懸念材料でした。

Amazon Q Developer は、AWS 環境での開発においては非常に優秀でしたが、逆に AWS に依存しないプロジェクトではあまり活躍しないと感じました。また、やはり対応していない技術スタックも多いため、その専門性が逆に制約となる場面がありました。

Cursor を導入してみて期待する効果

開発速度の向上

プロトタイピングから本格的な機能開発まで、あらゆる段階での開発速度向上を期待しています。特に、新しい技術やライブラリを導入する際の学習コストを大幅に削減できると考えています。

コード品質の向上

Cursor の自動デバッグ機能リファクタリング提案により、より高品質なコードを効率的に書けるようになることを期待しています。また、チーム全体でのコーディング規約の統一も図れると考えています。

技術的負債の削減

既存コードのリファクタリングモダナイゼーションにおいて、Cursor の支援により技術的負債を効率的に解消できることを期待しています。

チーム全体のスキル向上

ベストプラクティスを学びながら実装を進められるため、チーム全体のスキルレベル向上にも期待しています。

まとめ

今回の比較検討を通じて、AI コーディングツールの選択は、チームの開発文化やプロジェクトの特性によって大きく左右されることを改めて実感しました。

GitHub Copilot は、やはり GitHub エコシステムとの連携を活用したいチームにはとてもオススメできると思います。VS Code を使用している人ならシームレスに移行できるのと、課題(Issue) に GitHub Copilot を割り当てるとエージェントがタスクをこなしてくれたり、プルリクエストに割り当てるとレビューしてくれるなど、エージェント機能を十分に活用して開発を進めるための土台があるのが魅力的です。特に、大企業や厳しいセキュリティの要件があるプロジェクトにおいては、その実績と安定性があれば稟議なども通しやすくなるのではないかと思います。

Cursor は、プロジェクト全体の文脈理解力と自然言語による柔軟な指示を重視し、開発速度を最大化したいチームにオススメです。普段の業務に AI を取り込んで開発業務の効率化するという観点では、Cursor が一番その良さを実感できると思います。特に、スタートアップや新しい技術に積極的に取り組むチームにとって、その柔軟性と学習能力は大きな武器となると思います。Cursor は頻繁に新機能をアップデートしているので、常に最新の技術を感じられるのも魅力的です。

Amazon Q Developer は、AWS 環境での開発が中心で、クラウドネイティブなアプリケーション開発を行うチームにとっては良い選択肢になると感じました。AWS の深い知識とセキュリティ機能は、エンタープライズ環境において大きなアドバンテージになると思います。

ここまで3つのツールを比較してきましたが、これらのツールにおいて重要なのは急速に進化し続けているということです。今回の比較結果も、数ヶ月後には状況が大きく変わっている可能性があります。そのため、常に最新の情報を追いかけ、チームのニーズに合わせた柔軟な選択が重要になります。

また、どのツールを選択するにせよ、現状 AI はあくまで開発者を支援するツールであり、最終的な判断と責任はツールを使用している人間です。AI に頼りすぎてしまうと、セキュリティ事故を起こしてしまったり、想定とは違う結果になってしまう可能性が大いにあります。そのため、AI の能力を最大限に活用しながらも、エンジニアとしての本質的なスキルと判断力を磨き続けることが、これからの時代においてより重要になってくると予想しています。

AI コーディングツールは、もはや「あると便利」なツールではなく、現代の開発において必須のインフラとなりつつあります。この記事が、皆様のより効率的な開発環境の構築に貢献できれば幸いです。

NEW POST

このライターの最新記事
  • アイキャッチ

    業務で使うならどれ?GitHub Copilot, Cursor, Amazon Q Developer 比較

  • アイキャッチ

    GitHub Copilot導入で工数最大80%削減!開発現場での1ヶ月間の試用結果と課題

  • アイキャッチ

    (ゴリ押しで)microCMSにテキストカウンターを実装してみた

Contact

当社サービスにご興味があるお客様は
こちらよりお問い合わせください

お問い合わせ

Document

メンバーズルーツ発行の
資料をダウンロードできます

資料ダウンロード